最近多いご相談を紹介しています。今回は「清掃は今までのやり方が通用するのか?」です。
宿泊施設を取り巻く、DX化の推進、インバウンド対策、原価高騰、そして慢性的な人財不足などの諸問題により、様々な業務シーンにおける「今までのやり方が通用するのか?」という多くのご相談を頂戴しています。
施設の業務シーンは多岐に渡りますが、ここでは清掃業務に起因するご相談の一例をご紹介します。
ある宿泊施設より「数年前に自館の清掃マニュアルを策定し、それに基づくオペレーションを行っているが、本当に合っているのかが最近、疑問に思うようになってきた。第三者の目からチェックしてほしい」というご相談をいただきました。
最近では、マルチタスクを行う施設が増えてきていることから、各人のスキルがどのレベルに到達したのかを確認し、誰がやっても同じレベルの品質を維持できることを推進するためのマニュアルを整備し、それに基づく業務を行い実践していれば大丈夫と考え、マニュアルの見直しは行わないのが一般的です。
しかしお話を聞くと、そのマニュアルはコロナ禍の期間に策定したことが分かり、当時と比べ稼働率や従業員数も大きく変わっていることから、ここで一度立ち止まり、検証とブラッシュアップを行ってはどうか。とご提案いたしました。
続いて、「毎日しっかり清掃しているにもかかわらず、客室内で臭気やカビの発生といった不具合が発生しているので、その原因が今までの清掃のやり方に不備があるのか、それとも設備の経年劣化によるものかを追究したい」というご相談です。
設備や建物の経年劣化に関することは、設備診断を行うことでおおよその原因を追究できる可能性がありますが、お困りになっている「臭気」の原因の特定までは難しく、清掃プランニング業務を行うことで、「今までの清掃のやり方に不備があって、それによる異臭発生なのか?」については確認できる可能性があります。
このご相談に対しては、建物の構造や設備の状況、現行の清掃方法を調査し、その結果をもとに効率化の追求や、資機材の選定といった清掃プラニング業務の提案を行いました。
合わせてこちらの施設では、清掃に関するマニュアルが未整備であることから、これらを考慮したマニュアル策定のご提案も行いました。マニュアルは「策定したから完璧である」という意識に陥らないよう、定期的な振り返りとトレーニングを実施していくことで、清掃業務のスキルアップとマニュアルのブラッシュアップを同時に推進することができます。
宿泊ビジネスサポートでは、このような清掃プランニング業務において、最初に実際行っている清掃内容を、実地調査あるいは、動画を提供していただき確認することからはじめます。続いて、それをもとに課題や問題点を抽出したうえで、担当者を交え検討し改善案を提案します。引き続き、改善案を基にした研修を行うときは、清掃を担当する方の全員が参加して行う場合と、まずリーダーの方に実施し、研修で得られたノウハウを現場において実践しながら、他の従業員の方にも指導していただく方法とがあります。
提案もしくは研修後については、実際の清掃現場で実践し効率化が推進されているか、更に抽出される課題や改善などがないか、といった試行錯誤を繰り返しながら少しずつ改良し、微調整ができる業務スケジュールをお勧めしています。
清掃の運営改善は、やり方を変えたらすぐに結果が出るとは限らず、現場側に抵抗感があると、すぐ元のやり方に戻そうとする心理が働きがちです。その為、根気よく実践を続けてもらえるよう、現場の方の疑問をできるだけ解消しながら改善を進めて行くことを業務の中で心掛けています。
宿泊施設は古き良きを守るところがある一方で、トレンドを掴み、今までのやり方にこだわらず、殻を破ることもできるでしょう。
今までやってきたことに特に支障がなければ、あえて変える必要がないと思われがちですが、日常業務に忙殺されず、常に「今までのやり方が通用するのか?」と自問し、ブラッシュアップを繰り返し、最新の状態でお客様をお迎えできるようにしたいものです。
清掃で気になるところがございましたら、ぜひご相談ください。
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