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宿泊施設におけるフェーズフリーとは

令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被害を受けられた皆様の安全と1日でも早く平穏な生活に戻られますことを心よりお祈り申し上げます。

私たちは2011年の東日本大震災をはじめ、多くの災害を経験、あるいは伝え聞くことで都度、防災意識を高め「もしものときの備え」をしてきています。

この意識の高まりとともに、最近「フェーズフリー」という言葉を聞くようになりました。防災用品のほとんどは、備蓄倉庫等に保管し、いざ非常時に取り出して使うというものです。当然、防災用品の備蓄も大切なのですが、それに対し、フェーズフリーは日常の生活で、便利に活用できることはもちろん、 非常時の際にも役立つ商品・サービス・アイデアのことを指します。


それでは、宿泊施設におけるフェーズフリーとは、どのようなものがあるでしょうか。「ヒト」「モノ」「コト」、3つの観点からで考えてみました。

「ヒト」では、施設における防災訓練の回数を増やすことで、発災の際には慌てずに行動できる心構えを持つことができると思います。そして訓練の反省点を生かし、施設で制定している各種防災マニュアルなどは定期的にブラッシュアップを行い、それを共有する取り組みも行います。また 、フェーズフリーに活用できる商品の紹介とその活用方法を学ぶ勉強会の開催などを行うことで、知識をより深めることができると思います。定期的に「訓練する」「勉強する」「改善する」というサイクルを身につけ、それを継続していくことが大切だと思います。

「モノ」では、寝具、寝装品、リネン類、タオルをはじめ、消毒液やニトリルグローブなどの衛生用品、紙コップ、ペーパータオル、トイレットペーパなどの紙製品、アルミホイル、ラップや割箸といった厨房消耗品などが主なフェーズフリーなアイテムとして役に立つと思います。そして、日頃からそれらをどこで保管、管理しているのかを従業員の誰もが把握できるよう、例えば、フェーズフリーな商品には目印をつけて保管するなど、わかりやすい保管方法を検討してみるのも一つです。この ような取り組みを行うことで、発災時でも慌てずに迅速な対応が可能になると考えられます。ライフラインの根幹である水、電気、ガスが使用できなくなった場合でも問題なく利用でき、消費期限が比較的長期間なモノのほとんどが、フェーズフリーな商品であると考えられます。

「コト」においては、被災された方々に宿泊施設が宴会場、客室などを提供し、二次避難所として受け入れる体制を構築する事で、地域に貢献するという役割を担うことができると思います。そして、インフラ等の復旧、復興に向けた取り組みが始まるときには、それに携わる方々の拠点となるような、館内にワーキングスペースを設置するなどの検討もできます 。普段はワーケーションを兼ねた宿泊客や地元の方々にも使っていただき、万が一の際は前線基地として活用します。設置にあたっては、補助金を活用した取り組みができる可能性もあります。

危機管理能力の向上が叫ばれている昨今、リスクマネジメントやBCPなどの考え方が浸透しつつあります。また、「公助」のみに頼らず「自助」はもちろんのこと、「共助」として地域に貢献するという宿泊施設の存在意義もますます重要になってきています。


災害はいつどこで起きてもおかしくないという意識を常に持ち、普段使いしている商品やサービスなどで、フェーズフリーの観点から生かせるものはないのか、改めて 「ヒト」「モノ」「コト」、3つの観点から見直してみてはいかがでしょうか。

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